冠動脈疾患の既往のある患者さんはLDL-CHOの治療目標が70mg/dlであるという話を前回ふれましたが、今回は当院で一般的な高コレステロール血症の患者さんの治療目標のコレステロール値をどのようにして決定して治療にあたっているかをお話しします。
当院では吹田スコアというスコアを利用しています。
吹田スコアとは、国立循環器病研究センターにより2014年に医学雑誌Journal of Atherosclerosis and Thrombosisで提唱された冠動脈疾患の10年間の発症危険度を予測するリスクスコアです。同センターで行われている吹田研究をもとに都市部住民を対象として、心筋梗塞および脳卒中の既往のない5,866人の健常者(男性2,788 人、女性3,078 人, 平均年齢: 54.5 歳)を平均11.8年追跡して各リスクに割り当てられた点数を足し合わせることで、10年間の冠動脈疾患発症確率を予測できるようにしたものです。
このスコアを利用して患者さんを高リスク群、中リスク群、低リスク群の3群に分け、それぞれの目標値に応じて、食事療法、薬剤治療を行っています。